職場内恋愛






「美優さんに会いに行ったんでしょ…?」


京地は俺のほうを一向に見ようとしない。

ずっとグラウンドを見つめていて。


俺も、外を見つめた。



『ああ、行ったよ』



「それで先生は美優さんと話した。」


『うん』


京地はいったい、何を言いたいんだろう。



「そのときの美優さんは、何も覚えてなかった」



『ああ』


当たり前だろ。

美優は記憶をなくしてるんだから。




「でも…それが偽り、だったとしたら…?」



そのとき、初めて京地と目が合う。



京地の目は逸らしたくなるほど真っ直ぐで。

そして、逸らしたくなるほど悲しかった…










< 207 / 425 >

この作品をシェア

pagetop