職場内恋愛
「もしかしてさ、」
真はあたしの顔を指さす。
「もしかして、だけど。
奈々ちゃん…藤堂先生と別れよう、とか…思ってないよね?」
「…………っ」
真ってばホントにカンが鋭い。
まさか、当てられるとは。
「やっぱり。
思ってたんだ。
そんなことだろうと思ってたよ」
呆れたように溜め息をつく真。
相変わらず中2には見えない。
「そういうの、よくないと思う。
別れて済むって問題でも…ないでしょ?」
いったい真は何を見てきたんだろう。
とてもじゃないけど中学生が言う言葉じゃないように感じた。
「こういうとき、なんて言葉かけたらいい分かんないけど…
でも、別れてはい、終わりって言うのは許さないよ、あたし。
抜け殻みたいな藤堂先生はもう2度と見たくないし、
笑ってない奈々ちゃんも見たくないから。
じゃ、あたし…行くね。
何気忙しいんだ…実は」
ニヤッと笑った真は秘密の場所を出て行った。
真の言う通りだ。
別れて何もかもが終わるワケじゃない。
でも…
でも…
優作のこと、傷つけてるだけじゃないのかな。
私の存在って。