職場内恋愛
恐怖
『まあ…そんなに落ち込むなよ、優作』
そう言って俺の肩を叩くのはもちろん涼だ。
『別に落ち込んでなんてねぇーよ』
落ち込んでるワケじゃない。
でも、気分は最悪だ。
『そ?ならいいんだけどさ。』
涼はふぅーと煙を吐き出した。
『俺はさ、お前みたいな経験したことないから想像でしかキモチ、分かんないけど…
辛いよな。
彼女に拒まれる、って。
受け入れてくれないのって苦しいよな』
涼は目を細め、遠くを見つめる。
『とりあえず、奈々ちゃんには辛いとことか苦しいとことか見せんなよ。
1番辛いのは、苦しいのは、奈々ちゃんなんだから。』
『…分かってる』
そんなこと、分かってる。
分かってるけど…
だけど、そんなふうに簡単に割り切れないんだ。
頭で分かってるはずなのに。
奈々の前でうまく笑う自信がない。
時を経れば経るほど、自信はなくなっていく。
どうすればいんだ…俺は。