職場内恋愛
『…奈々』
俺は待ち伏せしていた。
どれだけ経っても奈々は一向に時間を作ってくれなくて。
このままじゃずっと、先延ばしになっちゃうんじゃないかって思ったから俺は奈々の帰りを待っていた。
「…ゆうさく…?!」
突然現れた俺に目を大きくして驚く奈々。
『ちょっと話…できないか?』
奈々は俯き、黙りこむ。
『ほんとにちょっとでいいんだ。
なんだったら奈々の家まで送る車の中でもいい。
ダメ…か?』
なぜか俺の足は震えていた。
これは緊張のせいか?
それともこれから訪れる予感のする何かのせいか?
俺は拳で太ももを殴った。
でも、震えは止まらない。
「……分かりました」