職場内恋愛
個人懇談
『…じゃあ京地から。
お前ら静かに自習か読書しとけ~』
俺は京地と無言で階段を昇り、誰もいない図書室へ入った。
『さて、始めるか』
俺は名簿に視線を落とし、
京地と目を合わせないようにした。
「………先生」
『…悩みとかあるか?』
俺は京地の呼びかけを無視して質問に行く。
「……先生」
でも京地は答えてくれなくて。
『あぁ、そうだ。
相原とは順調か?』
俺も京地の呼びかけには答えない。
「ねぇ、先生」
京地はやっぱり質問には答えなくて。
なんだ、この個人懇談は。
まったく話がかみ合ってない。
『勉強はどうだ?
ついて行けてるか?』
俺は、京地から逃げた。
奈々とのことを聞かれるのがイヤで。
逃げようとした。
でもそんな俺に届いたのは
「…先生!
なんで目、合わせてくれないんですか…!!」
京地の叫び声にも似た、そんな言葉だった。