職場内恋愛
言い返そうと思えば言い返すことだってできた。
『大人だって学習してる』
とか
『大人をバカにすんな』
とか。
なんだって言えた。
でも違う。
俺は、学習能力が…ないんだ。
だからまた、同じ過ちを繰り返した。
「先生もバカだと思う。
けど1番バカなのは…奈々ちゃんだよ…」
京地は手で顔を覆う。
「あたしがちゃんと…止めればよかった。
人のこと…言えないんだよ…ホントは。
あたしだって同じこと…繰り返した。
奈々ちゃんのこと、また…止められなかった」
京地は右手の拳で机を殴った。
ものすごい音が図書室に響く。
けど京地は顔をあげなかった。
ただ、
ただひたすら悔しそうに唇を噛んでいた。