職場内恋愛
「あ、そうだ、先生。
最後に1つだけ…聞いていい?」
ダメだ、そう言ってもどうせお前は聞いてくるだろ。
『ああ』
仕方ないからいいよ。
「奈々ちゃんのこと…怒ってる?
それとも…恨んでる?」
怒る?
恨む?
俺は首を横に振る。
『怒ってもいなければ、
恨んでもないよ。
なんで俺が奈々を怒らなきゃいけないんだよ?
まず、理由がないだろ』
「でも奈々ちゃん…1人で全部、解決させようとして先生と別れたんだよ?
怒ってはいないかもしれないけど、恨んでるでしょ?」
また、首を横に振る。
『恨んでなんかない。
今、俺は申し訳ないキモチでいっぱいだよ。
あのとき…奈々をこの腕で抱きしめれば、って思ってる』
俺はそう言って手を見つめた。