職場内恋愛





「ま、でもまた藤堂先生や奈々先生、伊藤先生とお仕事できて嬉しいです」


『光栄です』


そんな話をしていると職員室に着いた。


扉を開けてまず目に入るのは奈々の姿。

いや…俺の目が勝手に奈々を捕らえてしまう。


そして俺の目に映った奈々はウワサのある中川徹平と楽しそうに話していた。



あの笑顔は俺だけのモノ…じゃないんだ。



今じゃ、もう奈々の笑顔は俺だけに向けられないんだ。


ダメだな…俺。

奈々のこと、全然思い出にできない。


あんな距離にいるから。

こんな、手の届きそうな距離にいるから。



「おはようございます」


奈々…お前はもう、俺を思い出にしてしまったのか?

だからそうやって笑顔で俺にあいさつなんて…できてしまうのか?



『………おはようございます』


俺は…思い出になんてできない。


手を伸ばせば届きそうな距離に奈々がいるから。

忘れたくても忘れられないよ。


こうして、隣にキミを感じられるのだから。










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