職場内恋愛
進路
『ほとんどのヤツはまだ受験なんて先じゃん、
って思ってるかもしれないけどあっという間だから~
志望校決まってないヤツは将来の夢でも書いとけ~』
ある日のHR
生徒たちはぶーぶー言いながらも何やら用紙に書いている。
その中でもアイツだけは俺をじっと見ていて。
机の間をぬって京地の後ろに立つ。
『なんか文句でもあんのか?』
そう聞くと
「別に」
なんて素っ気ない返事が返ってきて。
『何キレてんだよ?』
俺は腕組みをして京地の後ろ姿を見つめる。
「キレてなんかないし。
ただめんどくさいな、って思ってただけ」
京地はチラッと後ろを振り返り、ペン回しを始めた。
『そう言わずに書けよ。
俺も中3のときはそう思ったけどさ、
結局みんなが通る道なんだから。
めんどくさいって言葉で逃げるなよ』
はぁ…と京地が溜め息を漏らす。
「逃げる?
誰に向かって言ってるワケ?」
京地は完全に俺のほうを向いた。
『お前に決まってるだろ』
そう言うとかなり鋭い視線が俺に突き刺さる。
「逃げてなんかない」