職場内恋愛
広い職員室に俺と奈々は隣に座っている。
仕方ないだろ。
席が隣通しなんだから。
職員室にはキーボードを打つ音が響いていた。
『……最近、どうですか?』
気がつくと俺は奈々に話しかけていた。
「もう忙しくって。
やっぱりクラスをもつ、っていうのは大変です」
奈々がそう言ってふっと笑う。
涼は奈々にタメ語で話せる。
奈々を下の名前で呼べる。
でも俺は…奈々に敬語だし、呼びかけるときは絶対橋野先生だし、
なんでだろう。
涼より奈々に近かったはずなのに、
今の俺は涼と奈々の距離がうらやましい。
きっと、俺と奈々はその距離にはなれない。
ずっと、ずっと、遠い距離。
ただの同僚。
いや…ただの、じゃないか。
元カレで同僚。
奈々の中じゃ俺はそんな位置づけ。
奈々…やっぱり俺たち、元には戻れないのかな…