職場内恋愛
『京地…もう、それ以上言うな』
別に京地が悪いワケじゃない。
むしろ、悪いのは俺の方。
奈々の手を離してしまった俺の方。
京地は、何も悪くない。
ただ、事実を俺に伝えてるだけ。
分かってるのに、無性に腹が立った。
悔しかった。
苦しかった。
辛かった。
「今、もう奈々ちゃんを諦めようって先生が思ったんならあたしは先生を買い被りすぎてたかもしれない。
でも、絶対徹平先生に奪われたくない、そう思ったならあたしは先生を応援するよ。
なんか…ごめんなさい。
先生に残酷なことばっかり言って。」
ホントにコイツは…どこまで世話をやけば気が済むんだろうか。
どうしてここまで自分の担任言えちゃうんだろうか。
急に目頭が熱くなって、俯く。
ちくしょー…
なんで泣きそうになってんだよ。
仕事中だって言うのに。
突然、背中に温もりを感じて。
顔を上げると寝ていたはずの涼が俺を見ていた。
『…あんまり、強がっちゃいけねぇよ?』
俺は立ち上がり、車両のつなぎ目へ足早に向かった。