職場内恋愛

Side 奈々






なんで…あのとき、泣いちゃったんだろう。

泣く理由なんて、どこにもなかったはずなのに。



後悔でいっぱいだ。


あの日。

もっと、ちゃんと拒否すればよかった。


あの日。

優作の言葉に、泣かなければよかった。


あの日。

優作の車に乗らなければよかった…



もうこれ以上もないほどに、後悔ばかりが溢れて。


優作の、あの切なげな表情を思い出すだけで、胸の奥がぎゅっと痛くなる。

どうしようもない、後悔に呑み込まれる。



もしあのとき、あのまま優作に身をゆだねていたら、どうなっていただろう。

もしかしたら…



『………奈々ちゃん?

いい加減、優作のこと考えるの、やめない?』



「……あ…すいません」


今、涼さんとの見回りの最中だった。


完全に、忘れてたよ…









< 314 / 425 >

この作品をシェア

pagetop