職場内恋愛





「いいですか~?

部屋で大声で叫ばないこと。

他のお客さんに迷惑をかけないこと。


これを守れなかった生徒は寝かせません!

ずっと、廊下で正座することになると思って下さい。


では以上、解散です」



楽しい時間というのはやっぱりあっという間に終わってしまうもので。

気づくともう、夜でホテルへ来ていた。



「また、今年も同じ部屋なのでお願いします」


ニコッと笑って山崎先生が鍵を目の前で揺らす。


そう言えば、野外学習でも同じ部屋だったんだっけ?



「こちらこそ、お願いします」

ペコッと頭を下げて山崎先生のあとをついていく。



「どうですか?初めての修学旅行の引率は」


エレベーターの中で山崎先生が言う。



「いろいろ疲れますけど…でも、やっぱり楽しいです」



『東京』という場所で生徒全員を集めるのは簡単なことじゃないし、

行く先々での見回りだって自分の好きなことできないからイヤだけど。


でも、生徒のみんなと触れあってる時間は楽しくて仕方がないんだ。


教師になって良かったな、って純粋に思えた。










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