職場内恋愛
「そんなことが…」
山崎先生はそう言ってまだ震えている私の肩を抱いた。
「ごめんね、辛いこと思い出させて。」
私は小さく首を横に振る。
「いいんです、全然。
そろそろ、私、立ち直らないとって思ってて。
過去のこと思い出していつまでも泣いてちゃダメですよね」
震える手をもう片方の手でさする。
徐々に震えも収まってきて。
何度か深呼吸を繰り返すうちに
完全に震えはなくなった。
「藤堂先生、きっと、ずっと、あなたのこと、待ってるよ?
あの人は自分でまだ気づいてないけど、ものすごくあなたを愛してる。
友達より、家族より、あなたのこと、大切に思ってると思うの。
藤堂先生を拒んで、彼を傷つけた、って思ってるなら…それはきっと、間違いだと思う。
確かに、藤堂先生は傷ついたかもしれない。
でもきっと彼はあなたの傷の方がもっと深くにあって。
それを癒したい、って思ってると思う。
なんだか勝手なことばっかり言ってごめんなさいね。
ただのオバサンの戯れ言だと思って流してくれもいい全然いいから。
さて、そろそろ行きますか。
生徒達の部屋の見回りに。」