職場内恋愛
「せーんせっ!
ちょっと来て~!」
女の子の部屋がある階に着くと山崎先生は生徒に手を引っ張られる。
「ちょっと…ごめんね?」
私にそう言うと山崎先生は呆れたように笑いながらその生徒について言った。
山崎先生は厳しい面もあるが、
基本的にはすごく優しい。
それに親しみやすい性格のせいか、生徒にかなり慕われている。
目標にしてる人は?
そう聞かれたら私は迷わず答えると思う。
「山崎先生です」
って。
「あ、奈々ちゃん」
廊下を歩いているとたまたま部屋から出て来た真とはち合わせ。
なんてタイミングだろう。
「もしかして…泣いた?」
私の顔を覗き込んだ真が聞く。
「あ…いや、ちょっと」
「やっぱり」
真はそう言って1人で頷いている。
ホント、真って怖い。
なんでも分かっちゃうんだもん。