職場内恋愛
そう言った相原の目は
若いヤツ特有の真っ直ぐと心に突き刺さる目だった。
『分かった、分かった。』
ふっと笑いながら相原の頭に手を置いた。
こう見るとやっぱり体だけ一人前にデカくなってもやっぱりまだ、コイツらは発展途上の子どもなんだな、と思った。
『ただ、覚えておけ。
お前には京地がいる。
で、他のヤツにも彼女とか好きなヤツとかいると思う。
本気で好きなら本気で自分の手で相手のこと、守ってやれ。
そうしないと、後悔することになるぞ。
……俺みたいにな』
自分の手を見つめる部屋にいる6人。
『じゃ、早く寝る準備して電気消せよ。
次来たとき起きてたら全員正座だからな』
そんな言葉を残して相原たちの部屋を出る。
廊下に出た途端、何かが胸に当たった。
何かが、というか人の頭が胸に当たったんだ。
そのときふわっと香った匂いは紛れもなく、奈々のもので。
『あ、大丈夫ですか?』
「……す、すいませんっ」
ゆっくりと視線を下に下げると顔を赤くした奈々が俯いていた。
あー…ビックリした。
心臓が皮膚を突き破って出てくるところだった。
なんて思いながらもあの頃と変わらない奈々の匂いに懐かしさを感じる俺がいた。