職場内恋愛





「あ、あのっ!

女の子の部屋の見回り、終わったんですけど…」


奈々は俯いたまま呟く。



『あ、すいません。

俺、相原に捕まっちゃってまだ見回り終わってないんです』


ちくしょう。

相原め。


明日会ったらデコピンくらわしてやる。



「じゃあ残り、やっちゃいましょう。」


奈々の一言で1つ1つの部屋を覗いては就寝準備の確認。

また部屋の中へ引きずられそうになったが今度は阻止。



「やっぱり藤堂先生は生徒たちから人気なんですね。」

廊下を歩いていると奈々が言った。



『え?そうですか?』


「そうですよ!

生徒達が先生と話したい、ってことは慕ってるってことじゃないですか。」



『そうだと嬉しいですけどね~』


自分では結構嫌われてるタイプだと思ってた。


だって学校じゃそんな笑わないし、

話し方だっていつも素っ気ないし。


慕われてるなんて1度も思ったことがなかった。

仮に奈々が言ってることが正しいとしたら


どうして俺、慕われてるんだ?








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