職場内恋愛
「全部終わりましたね~!」
それから奈々と手分けして見回りをしたおかげで無事に終わる。
『あの、今とか暇ですか?』
この発言。
俺の中じゃ結構大胆に誘ったつもり。
あくまでも、つもり、だけどな。
「あ…はい。」
『一服したいんで話し相手になってもらえないですか?』
また大胆な発言。
俺も少しは成長したのかもしれない。
「私で良ければ…」
なんて言う奈々を連れて1階のロビーで向かい合うようにして座った。
よくよく考えれば、
もし俺と奈々がまだ恋人という関係だったらこんな大胆なこと、できなかったな。
周りの目が気になって2人きりになんてなれなかったと思う。
じゃあ…アレか?
逆に別れててラッキーだったのか?
あ、でもラッキーって表現はおかしいよな。
だって俺、ラッキーじゃないし。
むしろ、アンラッキーくらいの勢い。
「……せ?
藤堂センセ?
火、付けないんですか?」
火の付いていないタバコをくわえたままぼーっとする俺に奈々が遠慮がちに言った。
ああ、と呟きライターで火を付け煙を吐き出す。
やっぱりタバコ吸うと落ち着くなぁ…