職場内恋愛





『どうした?

俺になんか用か?』


イヤな予感がする。

京地のこの表情。

前にも見た。


俺と奈々が別れたとき。

今と同じ顔してた。



「お節介だと思うけどさ、1つだけ。

奈々ちゃん、かなり元気なかった」


そう言って女生徒に囲まれて笑顔で何かを話している奈々に視線を送る京地。



「今だってあんなふうに元気に笑ってるけどさ。

でも…あたし、見ちゃったんだよね。


新幹線の1番後ろの席に座ってる奈々ちゃんが、この世の終わりみたいな顔してるところ」


何も言えずにいると



『まことー!』

と相原の京地を呼ぶ声。



「今行くー!」

と、京地は答えると早口で言った。



「奈々ちゃんにそんな表情させてたのがさ、先生のせいかどうかはあたし、知らないけど。

でも、もしなんか思い当たるようなことあるんなら、もうこれで最後にして。


あたしはもう、奈々ちゃんのあんな顔、見たくないんだ。」


じゃあね、と最後に付け加えると京地は相原の方へ走っていった。










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