職場内恋愛
京地に言われてからと言うもの、
その後の記憶がほとんどない。
ちゃんと授業ができていたのか、
昼飯を食べたのか、
誰と何を話したのか、
全ての記憶が曖昧で。
ちょっと奈々に振り回されすぎなのか?
なんて思っているともうあっという間に授業後で。
『じゃあ、気をつけて帰るように。
さよーなら』
『「さよーなら」』
元気に教室を出て行く生徒達を見ながら少し懐かしいキモチになった。
俺もガキん頃はあんなふうに無邪気に笑って、
走り回ってたんだろうな…
「せんせ!じゃね!」
『…………はぁ』
ホント、京地って嫌味なヤツだ。
わざわざ俺のところに来て、
あたかも帰るあいさつしに来たのを装って。
顔が意味深なんだよ。
その笑顔が不気味。
京地の背中にバーカと心の中で呟いて俺は教室を出た。