職場内恋愛




通いなれたはずの廊下を緊張しながら歩く。


いい返事が…もらえるんだろうか。

この廊下をまた通るとき、俺はどんなキモチでいるんだろうか。


笑っているだろうか。

それとも…泣いているだろうか。


そんなことを考えていると目の前にドアが現れて。


汗ばむ手でノブを握りゆっくり回す。



『……はぁ』

緊張しながら開けたものの奈々はまだいなくて。


さっそくタバコを一本取り出して気を落ち着ける。


俺、ちょっとビビり過ぎなのか?

いや、でも告白の返事をもらうんだからこれが普通か。


そう心の中で独り言を呟く。


それと同時に俺と奈々が初めて出逢った、あの夜のことを思い出していた。


泣きすぎて俺の腕の中で寝てしまった奈々。

ベットに寝かせると傷だらけで服には泥がついていて。


俺が止めに入らなかったらこの子はどうなってたんだろう…

なんて思いながら着替えさせて。


顔が今より幼かったせいか二十歳くらいだと思ってたから

職員室で再会したときはビックリしたなぁ…



最近のようであれからもう1年も過ぎてるのか。

なんてことに気づいて。


俺もトシ…取ったなぁ…

と、独り言を呟くと同時に背中から声がした。




「…………藤堂…せんせ…」
















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