職場内恋愛
最終章
志望校
職員室に入って1番最初に目に入ったのはやっぱり奈々で。
奈々は俺が戻ってきたことに気づき振り向いて少し微笑む。
それだけのことが嬉しくて。
嬉しくて。
ニヤけそうになって
慌てて頬を引き締めた。
「お帰りなさい、藤堂先生」
『ただいまでーす』
俺の向かい側の席に座っている山崎先生がパソコンのディスプレイから視線を外して顔を上げた。
「では全員揃ったところで1つお話がありまーす」
そう山崎先生が声をかけると作業中の先生方が一時中断して顔を上げる。
「今日から個人面談をお願いします。
とりあえず夏休み前までには全員と面談していてもらえると何かと都合がいいと思います。
それだけですのでどうぞ、作業を続けて下さい」
山崎先生は座り直すとまたキーボードをカチャカチャ打っている。
個人面談…かぁ…
やっぱ話の内容的には受験のことなんだよなぁ…
ってか…俺、ちょっと憂鬱だ。
だって京地と向き合って2人で話をするのは
ちょっと…いや、かなり辛い。
アイツのことだからきっと、進路の話はさせてくれなくて
俺へ説教してきそうだからな。