職場内恋愛
『じゃあまず、志望校は決まったか?
修学旅行前の進路希望調査は真っ白だったけど?』
「その言い方はさ、もしかして真っ白で提出したこと怒ってる?」
コイツ…
ちょっとずつ、微妙に話をずらそうとしてやがる。
と、踏んだ俺は言う。
『別に怒ってない。
で、志望校は?』
チラッとノートから顔を上げると京地が悔しそうな顔をして俺を睨んでいた。
『お前さ、俺がそんな手に簡単に引っかかると思ってんの?
もうかれこれ1年以上お前と付き合ってんだぞ?』
ニヤッと笑って得意げな俺。
京地はまだ悔しそうな顔をしたままだ。
だが、油断はできない。
なんせ『腹黒』京地だ。
今、腹の中できっと次の作戦を練っているに違いない。
「志望校?
そのへんの高校行くよ」
………あれ?
意外にも質問に答えやがった。
ま、ありがたいけど。
そんなことを思いながらノートに
『京地真 志望校…未定』
と書いた。