職場内恋愛
アイツの涙
『はぁ…もう終わりかよー夏休み』
そう俺の隣で嘆くのは涼だ。
ちなみに、今日は8月31日。
夏休み最終日。
『いいよなー優作は。
おじさんとおばさんに奈々ちゃん紹介してさ。
すっげぇー幸せそうで。
俺なんて独り身なのにー』
涼はそう言いながら俺を睨む。
普通の人より少し遅めでお盆休みをとった俺と奈々は
2人で俺の地元へ帰った。
ついでに要らない情報を1つ。
地元に帰ったときは涼も一緒だった。
で、うちの両親に奈々を会わせた。
2人ともすぐに奈々を気に入ってくれて正直、かなり安心した。
俺と奈々がこのまま結婚しても
嫁姑問題には発展しなさそうだったから。
『奈々さん、すごくいい子だな』
夜、親父が酒を飲みながらそう言ったのを覚えてる。
だって、嬉しかったんだ。
親父に奈々を認めてもらえたことが。
俺は少し照れながら
『母さんより絶対いい女だからな』
と答えてやった。
そうすると親父は大声で笑っていた。
俺が社会人になってからこんなふうに親父と会話をしたのは初めてで。
親孝行、しなきゃ。
そう心に誓った日だった。