職場内恋愛





『でも…俺、笑ってないと…

今にも…潰れちゃいそうで…』



『なぁ…相原。

俺とお前って…似てるのかもな』


突然、そんなことを言い出す俺を不思議そうな顔で見つめる相原。



『俺も…お前と同じだ。


好きだった人と別れて、

自分のプライドを保つために必死で笑ってたんだ…』


相原は驚いたように目を見開く。

そしてすぐにいつもの顔に戻り



『男って、そういうちょっとした強がり、好きだよね。

それで、強がってる自分にちょっと自惚れてる』


思わず笑ってしまう。

確かに、それ、あるよ。


頑張ってる自分が

たまに、イケてるって思ったり


踏ん張ってる自分に

頑張ってるな、お前。

ってなったり…な。



『せんせ、ちょっと元気出たよ。

始業式、行こう』


相原は席を立ちあがりまた笑う。

でもさっきよりだいぶましな笑顔。

まだちょっと痛々しいがそこは大目に見るよ。



『あんま、無理すんなよ』


『優しいこと言うと泣いちゃうからやめて』


軽く相原に睨まれる。


『悪い悪い。

でもなんかあったらいつでも言えよ』


『だーかーらー…!』


なんてバカなやり取りをしながら体育館へ向かう。


さて、相原は少し元気になったみたいだが、

演技の上手な腹黒京地は今、どんな心境なんだろう。








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