職場内恋愛






京地はそう言ってふっと悲しそうに笑うと俺の横を走り去って行った。



『………京地っ!』


ワンテンポ遅れて教室を出るがもう京地の姿はなくて。

俺は諦めてさっきまで京地が座っていた席に座った。


そして、京地と同じ体勢になった。

アイツが何を見ていたのか、知りたかったんだ。





『…………相原…か』


窓の外はグラウンドがあって。

グラウンドではサッカー部が練習をしていた。


そこには引退したはずの相原がいて。

楽しそうに笑いながら、後輩たちを指導している。




なぁ…京地。


辛いときに、相手のことなんて見ていたら…

辛さが増すだけだろ…?


俺も、同じだった。

職員室で奈々と顔を合わせず過ごすことなんて無理で。


毎日、苦しかったんだ。

少しは俺のキモチ…分かった?


でも…俺、苦しかったけど、お前や涼に励まされて、笑えてた。


だからさ、京地。

お前も、俺や涼を頼れよ。


俺の元気がないとき、

お前に元気をもらってた。


だから今度は俺がお前に元気、分けてやるから…




だから…強がらず、

なんでも俺に言ってくれよ…











< 393 / 425 >

この作品をシェア

pagetop