職場内恋愛
「ねー…ホント、あたし、どうすればいいのかなぁ…」
京地はビックリするほど切なげな目で俯いていた。
『京地はさ、相原のこと、忘れたいワケ?』
しばらくの沈黙のあと、京地が言った。
「忘れたくなんてない。
だけど…忘れるべきだと思う。
勉強してても、賢のことがいつも気になってさ。
賢は勉強頑張ってるのかなぁーとか思っちゃってさ。
全然、はかどらないときもあるんだよね、実は。
今は成績、上がってるけどいつ下がっちゃうか分かんないもん。」
『なら、わすれ…「忘れなければいい、とでも言いたいの?せんせ」
俺の言葉は京地によって遮られた。
「分かってるよ。
忘れられないことくらい。
あたし、バカじゃないんだから、それくらい分かってる。
だけど…だけど、もうやってらんないよ。
学校に来れば教室には賢がいて。
夏休み前までは賢の前の席に座って、笑いながら話してたなー
とか、考えちゃうんだよ?
賢の後ろ姿見て、
やっぱり好きだなー
って思っちゃうんだよ?
そんなふうに苦しむくらいなら…忘れた方がいいんだ」
京地が苦しそうにそう言い終えたとき、
突然、声がした。
「真、それは間違ってるよ」