職場内恋愛
「………あーあ。
ヤになっちゃう」
バッと顔を上げた京地が独り言のように呟く。
「もういいよ。
だって、否定できないもん。
あたしがまだ賢を好きだっていうことも
やり直したい、って思ってることも
……否定、できないんだもん。
だから…だからもう、何も言わないで。
あとは自分でどうにかするから」
京地は最後に笑って言った。
「もう、今日で最後にしよ。
賢のこと、話すの。
……大丈夫。
心配、しないで。
これでもあたし、まだ気持ちに余裕…あるから」
京地はそれだけ言うと出ていった。
残された俺と奈々は顔を見合わせて溜め息をついた。
また、京地は俺たちを頼ってくれなかった。
いつもアイツには助けられてたから。
だから、アイツを助けてやりたい。
そう、奈々と話していたのに。
京地は自分の殻に閉じこもったまま。
少し…いや、結構悲しいんだな。
人に頼られない、って。