美女は魔獣
ジュウゥッ・・・

静寂の中に突然聞こえた大きな音で目が覚めた。

――眩しい――

さっきまで確かに暗い場所にいたのに、目を開けたとたんにそこには眩しい光。

見渡すと、白い壁に囲まれていて、何だか見たことのないものが所々に置いてある。

どうやら何かの建物の中らしい。

どうも記憶がはっきりしなくて何故こんな場所にいるのか思い出せない。

なんとか思い出そうとはしているが、向こうの方から漂ってくる何ともいえない良い匂いが邪魔をして思考が定まらない。

キュルルル・・・と、お腹が鳴る。

“早く行け”と、体中が言っているような気がして、無意識のうちに立ち上がった。

・・・が、あまりの空腹に足元がふらついてバランスを崩してしまった。

とっさに手を伸ばしてつかんだものはカーテンだったが、安っぽい薄いカーテンは大人ひとりの体重を支えきれず、ブチブチブチ・・・という音をたてながらカーテンレールから剥がれた。
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表紙・目次

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