桜の咲く頃


ハナが服を脱ぎ出した。


ソコには無数の傷が有った。背中にはタバコを押し付けた後や切り傷。自分でやったとは思えない。親!?

ハナが口を開いた。


「以前付き合っていた人からDVを受けてて。」

俺は呆然とした。
あんなに明るくて面白い娘の内側にはこんな苦しい過去が。


俺はハナに服を着させた。

「ごめんな。」

知らなかったとは言え、恐怖を蘇らせてしまった。



「沖田さんが何で謝るんですか?気にしないでくださいね。知らなかった事だから。……朔には迷惑かけたくないから言わないで下さい。そのまま両親に言うから。」


「朔が好きじゃないのかもう?」


「えっ!あっえっと〜。」
苦笑い。


「総司、勘違いしてるだろう?」

「はっ?」

「朔は双子の弟だハナの。」

「えっ!」

ハナの顔を見る

「二卵性の双子で似てないんで、間違われるんです良く。」


思いっきり溜め息を付いた。自然と笑いが込み上げてきた

「朔のやろーカマかけやがった。今度覚えてろ。」



「あっ!!四葉私、帰らなきゃ。怒られる。」


< 20 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop