唇。

事務所に戻って愕然。


(ま、マジですか…。)


あたしの席は、所長の隣に作られた。
空いてないから臨時という事らしいけど…所長の隣に新人って厳しいでしょ…。
朝一からグッタリ。
支給されたノートパソコンを開いて、カチカチと色んなフォルダを開いてると、所長があるファイルを持って来た。

どうやら、あたしの初仕事らしい。


「この図面を作るんだけど…。」


説明を受けながら、指定の図面を開いて、完成させていく。
勿論、色々な指摘を受けながらゆっくりと。

暫くすると、所長はまた慌しく出て行った。


(お忙しい事で…ってか、あたしゃどーすりゃえーねん。)


教えて貰った事を思い出しながら、せっせかと作り上げていく。
所々、姉に聞きながら。

やっと昼になって、深く息を吐き出した。
眠くて眠くて仕方がない。


(いかんよな~…。)


急いでご飯を食べて、顔を伏せて意識を飛ばした。

12:55pm。
携帯のアラームが鳴って、目を覚ます。
ふと顔を上げれば、目の前のコピー機に人影。


「お、お疲れ様です。」

「お疲れ様ぁ。」


そこに居たのは遠野さん。
中央テーブルには、遠野さんが居る班が集まって、何やら難しい顔をしている。
そこの下請会社の主任さん、本田主任も混ざってる。
班長の伊地知さんを始め、飯田さんと遠野さんともう一人…誰?
不思議に思いつつも、チャイムが鳴ったのでお茶を一口飲んでから、午前中の続きに取り掛かった。
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