唇。

そんな出来事も記憶の彼方。





数度目の帰宅時間。
相変わらず二人で笑ってる。


「今度、皆で飲み行きたいですね~。」

「あー、行きたいね。」


会社でのストレスは、お酒かカラオケで紛らわす。
仕事が詰まってて最近、両方とも疎遠だったから、落ち着いて来た今がチャンスだった。


「じゃ、行くか。」

「マジっすか!やったー。じゃ、連絡先教えて下さいよ。日程決めましょ。」


遠野さんはこのあと友人宅に行くらしく、長居は出来ないみたいで、メールか電話で日程を決めようと思った。


「赤外線…どうすんの?」


そう言ってあたしに自分の携帯を投げた。


「開けていんすか?」

「いいよ。」


お言葉に甘えて携帯を開き、どこだどこだと探しながら赤外線を探し当て、自分のと交換する。


「これでアッシーゲット!」

「はぁ!?バカか。」


そう言って走行中の車の中で騒ぎ出す。
自宅近辺について、お礼を言って車を見送る。
さっそくメール。




【有難う御座いました。いつなら大丈夫ですか?】




送信。
あたしは玄関をくぐり、「ただいま。」と母に帰宅を知らせた。

母は既に夕飯は食べたようで、あたしがご飯を食べている間、テレビを見ていた。


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