唇。
ぽつん。
正にそんな感じ。
何をすればいいのか分からない。
パソコンを勝手に触るわけにもいかないし…。
「ね、何すればいい?」
小声で話しかければ、姉は少し考えて、机の中を漁り出した。
取り出したのは、十頁ほどの小冊子。
「これに書いてるのが基本になるから、所長が来るまで読んどけばいいよ。」
「ん。」
パラ、と一枚目を捲り、早くも断念したい気分に襲われた。
並ぶ用語は専門用語。
簡単に解説はついてるものの、初心者のあたしにはサッパリ。
ちなみに、此処の会社は電気工事関係の会社。
で、そんなあたしはデザイン科卒業。
分かる訳がない。
でも、姉の仕事の邪魔は出来ないから、頭を悩ませながら読み進めて行く。