憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)
ココは校長室であいさつを済ませ、入ってきたドアとは別の職員室に繋がるドアから校長と共に出た

そして、担任と一緒に転校の手続きを済ませたのだった

「ありがとうございました」

ココは深深と頭を下げた

「東野、むこうでも頑張れよ!!」

担任はココの肩を叩き、激励する

ココは少し顔を緩ませ頷いた

「でも、クラスのみんなに挨拶とかしなくていいのか?」

「はい いいんです」

担任の言葉にココは一瞬で顔を曇らせた

「そうか・・ まっ別れが辛くなるのはなんとなくわかるよ・・」

担任なりに理解を示した

ココは

「それでは、家族が待っているので・・・失礼します 本当にありがとうございました」

ココはもう一度頭を下げ、職員室を後にした

職員室に背を向けるようにして、校長室のドアが開くのを待っていたジュジュはココが数メートル後ろにいるのに気がつかず、ココもジュジュに背を向けて歩き出したため気がつかなかった

ココは履いていた上履きをゴミ箱に捨て、いつか原君が褒めてくれたローファーを履き、振り返ることなく昇降口を出て歩き出した

教科書や体育着などの私物は、ジョーに任せたので、ココは手ぶらだった

2年3ヶ月通ったこの学校とも今日でお別れ

ココは、この夏、アメリカの語学学校に通い、9月からアメリカの高校に編入するのだ

自分のアイデンティティーから逃げる事をやめると決めたのだ
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