憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)
そして、パーティー当日

かしこまったものじゃないから、急いで行かなくてもいいし・・

と言うハンナに従い、ココは連れられるがままクラブに来ていた

ブラックライトにカチャカチャしている照明

ホールでは、多くの人が好き勝手に体を動かしている

その周囲では、大音響の中、顔を寄せ合って話をしている人もいる

キョロキョロ見渡すココを見て

「こういうとこ初めて?」

ハンナとココはやっと見つけた席に腰を下ろした

小さい頃から遊び場だったAQUAはクラブだけれど、上のお客さんがいるフロアーには未だに顔を出したことがないココは

「こういう感じは初めてかな・・」

と言葉を選んで答えたのだった

「本当、日本人って真面目なのね~」

ココの答えに笑ったハンナはしばらくして

「ちょっと行ってくる!!」

とひとりホールへ降りていった

「え?ちょ・・・・」

ココが戸惑う声は小さすぎてハンナの耳にはとどかなかった

初めての場所で不安はあったが、ハンナを追ってホールに行く気はサラサラなかったココはそのままボーっと踊るハンナを見ていたのだった

いつも隙のないココもこういう場では、声を掛けやすい雰囲気だったのかもしれない

「ねぇ・・さっきから一人だけど、一緒にどう?」

年上っぽい二人組みが声を掛けてきた

「君、韓国人?」

「観光客とか?」

「あっ・・ 言ってる事わかる?」

ココが黙っているとポンポン飛び出す言葉たち
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