憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)
シアトルの夜景を見下ろしながら、ボーっとしているケーゴ

そんなケーゴを、ちょうどシャワーを浴び、短パンに首から掛けたタオルで頭をガシガシ拭きながらジョーはしばらく眺めていた

別に静かにしていたわけでもないのに、自分の存在に気付かないほど何をそんなに考えているのか・・

ジョーは持っていた缶をケーゴの首に押し付けた

「うおっ!!」

思わず肩を上げ、睨みつけながら振り返るケーゴに

苦笑いしながら缶を渡すジョー

「フッ」

と口角を上げ缶を受け取ったケーゴはそのままプルトップをあげ、中身を喉に流し込んだ

「おっ?」

そんなケーゴに眉をあげ反応するジョー

そのまま一気に飲み干したケーゴは、グシャっと缶を潰し、ポスッとゴミ箱に投げ入れた

一連の流れを見ていたジョーは

「流石!! 絵になるねぇ~」

と自分もプルトップを開け、一気に半分ほど喉に流し込んだ

「で?」

窓際のケーゴから離れたソファにドカッと座ったジョーは面白そうにケーゴに視線を向けた

そんなジョーをギロッとにらみつけたケーゴ

「まぁまぁ・・ ココの事だろ? お前がそんな顔するのは昔っからココが絡んでたもんな・・・」

そんなジョーに

「チッ」

と舌打ちをするケーゴは無言で歩き、冷蔵庫からもう一本缶を取り出した
< 182 / 202 >

この作品をシェア

pagetop