憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)
「いつも思っていたんだけどさ、東野さんのローファーって本皮だよね? そのデザインってどこの?メンズもあるのかな?」

「えっ…あ、いや…メッメンズはない…かな」

私は、突然の質問に思わず、カミカミになってしまった

「そうなんだ… 残念… いいなって思っていたんだよね じゃあ、また明日な!」

そう言って堀君は帰っていった

しばらく、堀君の背中を見ていたけど、私も上履きをしまい、昇降口へと向かった

そこには、未だ帰らずに、立ちすくんでいる堀君の姿

もういないと思ったのに・・・

そう思いながら歩いていくと

「あっ・・・・」

さっきまでは降っていなかったのに、雨になっていたんだ

「降ってきちゃったみたいだね 参ったな~ 傘ないんだ・・ よしっ仕方ない!!」

堀君はそう言って、カバンを頭に乗せ、私に笑って見せた

「え? 走っていくの?」

「お~ こう見えても足、速いんだ」

そんなの知ってるし・・

だって、堀君は陸上部のエースだもん

「私持ってるから、駅まで一緒に入る?」

そういって、私はカバンの中から折りたたみの傘を出した






< 3 / 202 >

この作品をシェア

pagetop