憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)
熱心に自分の世界観を語る北斗に圧倒されつつ、ココはその言葉を黙って聞いていた

「レンとはもう20年近い付き合いなんだ・・・」

北斗の言葉に驚くココ

20年って・・私が生まれる前だし・・

「レンは姫花さんと二人でハワイ州に住んでいたことがあってさ、そこの幼稚園で一緒だった でも、ある日突然引越しちゃって、再会したのは本当に偶然なんだけどね・・レンに双子の妹弟がいることは聞いてたし、その一人がモデルのジョーってのは知ってたけど、もう一人の君の事は全く知らなかった でも、偶然にも君たちが三人で一緒にいるのを偶然見かけたんだよ・・ 」

「レン兄とジョーと三人でいたところを見たんですか?」

「そうだよ?」

「私達、三人で出歩くことなんてそんなにないですよ?」

引退していても、現役でも日本で顔が知れ渡っている二人の兄弟と街中を出歩くことはそうそうない

一緒に歩くといっても、パーキングから店への数メートルがいいところ

肩を並べてあるくなんて、ここ何年かないはずだ

「知ってる・・ それに日本じゃなかったし・・」

北斗のその言葉に納得したココ

確かに、日本を離れれば、気も緩む

「でも、三人で一緒にって・・最近どこにも行ってないですよ?」

「最近じゃないからね・・ 確か3年くらい前にシアトルでかな?」

北斗の言葉に驚いたココ

確かに3年ほど前、シアトルに住んでいるマーサさんに会いに行った

レン兄は中学の3年間シアトルに留学していたから、旧友との再会も楽しみにしていたんだっけ・・

「最初はレンだってわからなかったけど、それから3年 やっと今日ココちゃんと会う許可を頂いたんだ 被写体の事もそう 御両親もココちゃんのしたいようにすればいいって許可を頂いているんだ ココちゃんの知らないところで動いて気分悪くしたよね? ごめんね?」


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