憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)
その視線を追って行くと、母の瞳に負けないくらいキラキラしている自分の爪

「どう? 綺麗でしょ?」

自慢げな母

「名前だけのオーナーじゃないって証明よ!!」

鼻息の荒い母

「はい、じゃあラスト1枚ね!! ココ、笑って~」

と言ったかと思うと切られたシャッター

「はい、ご苦労様!」

「え?は? ちょ・・ママ!!」

慌てるココに、落ち着いている姫花

「なに? 何してんの?」

戸惑うココ

「え? 何って、撮影よ? ママのサロンのOPENが雑誌に載るの さっき説明したじゃないの」

考え込みすぎて全く聞いていなかったのだ

「だって、ママの忘れ物持ってくるだけじゃないの?」

「だから、それもさっき説明したじゃないの・・ 疲れてるの? ココ、大丈夫?」

ココの顔を両手で包み、顔を覗き込むのは小さい頃から、熱の有無を確認する母の仕草だった

「大丈夫・・ それよりこれちゃんとオフしてよ?」

とスカルプのついた手を差し出すココ

「え~ せっかくしたのに~ いいじゃん、付けとけば!」

母親らしからぬ発言に

「校則違反なの」

娘がしっかりしたのは、反面教師の何者でもない
< 83 / 202 >

この作品をシェア

pagetop