妹彼女
春桜はしばらく顔を上げず、泣いているのが分かった。後悔は無いが、やはり少し罪悪感はある。


「………いや…」


「…?」


突然春桜が俺に飛びかかり、林に押し倒し、無理矢理キスした。
離れようとしたが、完全に関節をロックされていた。


後から知ったが、春桜は護身用に柔道を学んでいて、かなりの実力らしい。


「いや!私と付き合って!お願い…」


潤んだ瞳で俺を見る。いくつか枝が俺の体に刺さっていた。


「だからダメだって……。離して。君のためにも良くな…」


「ヤダ!私、ずっと…ずっと…ずっと。あなたを見てたの!写真もたくさんあるし、……お願い…」


泣いてても関節ロックは緩めないのはさすがだな。
その気になれば抜け出せないこともないが、枝が刺さって力が入らない。


「…付き合ってくれないなら大声出すよ?海くんがいきなり私を押し倒したって言えば、終わりだよ?」


おっと、脅しにきたか。まぁ確かに今のこの状況を誰かに見られたら、間違いなく俺が悪く見られる。


けどそれに屈服するつもりはない。


「なら叫べば?」


「………え?」


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