妹彼女
なんだ?今、空はなんて言ったんだ?


……………、俺たちは………兄妹じゃ……双子じゃ………ない?


「ウソ…だ…。お前は、空だ…。俺の妹で…、俺の双子の妹…。」


『違うの…。あなたの本当の妹、風羽 空は、9年前の事故で、亡くなってるの……』


混乱する俺を尻目に、その空だと思っていた女の子は語りだす。


風羽 空という一人の幼い女の子は、先の交通事故でその命を失った。


だが空の兄は、現実から逃避し、同じく交通事故に会い手術を終えた私を空にした。


私の両親は私とともに交通事故に会ったが、生き残ったのは私だけだった。


私の名前は


花守 空海(はなもり そらみ)


身寄りの無く、空って娘に似ていた私は、風羽夫妻のご好意で、風羽家の養子となった。


けど、風羽家に来た私に課せられたのは、兄の前で双子の妹、空のふりをすること。


出逢った兄、海はかっこよく、優しく、兄という存在に憧れていて私はすぐに適応できた。


海も私を疑うことはなかった。むしろ他人のはずの私を一生懸命守ってくれる。


そんな兄に、知らぬ間、いえ、初めから、私は恋していた。


ダメなことだとは分かっていた。この人の妹になった時点で、私は全ての男性の中で、この人にだけは恋してはいけなかった。


けど、高校に入ってからは、どうしても我慢できず、してもいいとさえ思い始めた。


両親にも相談した。咎められると思ったが、意外にも構わないと言った。その方が後に真実が話すきっかけになる、と。



「はは…ウソだろ?………じゃあ、真実を知らないのは俺だけだってのか…」


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