妹彼女
空は奇跡的に全快し、後遺症は無い。だが首の後ろの傷は消えない。言ってみれば、この傷が俺の決意の証、この傷に誓って、俺は空を離さない。


多少記憶が飛んだのか、今でも空は事故のことを覚えていない。
その方がいい。痛みと悲しみを背負うのは俺の役目だ。空じゃない。傷は生まれつきと言ってある。事故に関することは俺が全て抹消してある。クラスメイトにも絶対言わないよう脅すように言った。


あの時一緒に遊んでいた大地も、責任を感じて空によく尽くしてくれる。俺がどうしても空のそばにいてやれない時、俺は大地に頼む。大地も快く了承してくれる。


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