妹彼女
昼飯が終わり、教室移動していると、後ろから優が来た。どうやら優も美術らしい。


「海君たちも美術?一緒だね。あれ?どうしたの哀原君?」


緑のことばかり考えている大地は優に見向きもせず、ボーッとしていた。中学のときも似たような現象よく見たな。


『大地ね~、今恋してんだよ。緑ちゃんに。』


「へぇ~緑ちゃんに?哀原君もずいぶんと積極的なんだね~。海君は恋してないの?」


「俺はしてないな。」


候補もいねぇし、別に恋しなくても生きていけるし。と言おうとしたが優は相変わらず俺の言葉を最後まで聞かない上に勘違いをする。


「私なら今空いてるよ?海君となら…」


続きを言おうとしたが、空に遮られた。


『あっ!』


筆箱を落とし、ペンが散った。俺はすぐに拾ってやった。


『ありがと、兄貴。』


< 79 / 208 >

この作品をシェア

pagetop