つづく、あしあと。
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 ユウキと出会ったのは、高校入試のときだった。

 もちろん、試験の最中はそんなこと気づかなかった。
 緊張して、周りにだれが座ってるかなんて見渡す余裕はなかった。
 そう、緊張して・・・・・・お腹がずっと痛かったのも、自分が緊張していたからだと思っていた。
 けれど・・・・・・、午後の最後の試験のとき、突然呼吸ができなくなった。

 痛みで。
 左手に持っていた消しゴムが転げ落ち、わたしは椅子に座っているのがやっとだった。

 どうしよう、解かなくちゃ。
 どうしよう、痛いよ。
 どうしよう、問題、解かなくちゃ。

 そんなことが頭の中をぐるぐるかけめぐる。

 
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