彼の事情
「陸??!どうしたの?」

「ごめん。こんな時間に。」



そういった陸の片手にはたくさんの荷物が。

家出かな?

そんな予感がした。


「えれな。俺家出してきた。」


「陸。大丈夫?」

「うん。」



そういって陸はわたしを優しく抱きしめた。

陸はそれ以上なにも言わなかった。
そしてわたしも聞かなかった。









「おはょ。」


「おはよ。えれな、昨日はごめんな。」


「別にいいよ。もしかして黙って出てきたの?」




「うん。」


「電話、しなくてもいいの?」




「大丈夫だと思うよ。今うちはそれどころじゃないし。」




「そう。」




「俺、また今日も野球の練習だから。昼には帰ってくるよ。」



「わかった。」






陸は家出をした事情を話さなかった。



1人でなんか抱えてほしくない。でも、陸にその気持ちは
伝わらなかった。

















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