彼の事情

「再婚。 するんだって。」






「えっっ。」

この間リビングにいた女の人って。

陸はあたしの手をグュッと握った。





「再婚なんかどうでもいい。でも、また俺がそんな幸せになろうとしている
家庭をメチャメチャにしてしまいそうで。
離婚したのも俺のせいなんだ。何があったのか詳しく聞かされてない。
でも、離婚をとめたら言われたんだ。お前のせいだぞって。あんなに
仲良かったのに。母さんは家を出た。怖いんだ。またみんなから幸せを
とりそうで。あの家にいると。」









「陸のせいじゃないよ。だから陸は家に帰ったっていいんだよ。
淳さんだって、絢ちゃんだって寂しがってる、きっと。幸せなんて
外見だけじゃない。だから自分ばっかり責めないで。」














「うん。」





「でも、えれなの家にも着てね。」





「もちろん。」












「陸。陸はえれなにとって一番の家族だよ。
辛いとき・悲しいときはここに戻ってきてほしい。
それだけ。」
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