Cleome
「おばさん、回覧板〜。」
「ありがとう、宇海ちゃん。」

買い物袋で両手があいて無いのに、受け取ろうとするおばさん。

「片方持つよ、おばさん。」
「大丈夫よ〜。もう家だから。」
「ちょっとの距離なら遠慮すること無いじゃん。」

半ば強引に買い物袋を持つ。
割れ物入ってたら何かの拍子に落として割らしそうだし。
鍵開けるとき時とか。

「宇海ちゃんは本当にいい子ね〜。」
「嫁に来て欲しいってのは無しだから。」

あら、バレちゃった。って言いながら鍵を開けるおばさん。
行くたびに言われてるんだからさ、分かるよ。

「考えておいてね。おばさん、楽しみにしてるわ〜。」

あたしが言う暇を与えず、さっさと中へ入っていく。

こういう時だけ妙に素早い。

考えたくもない事を考えてと言われても…。

あんなバカな女好きは絶対ヤダ。
おばさんにはかわいそうだけど、一生独身の方が霄には向いてると思う。

あ、でも…霄も一応、将来は社長だし…世間知らずの箱入り娘でも奥さんにしとけばいいんじゃないか?

それか、浮気しても許してくれる心のひろーい人と結婚するとか。


てか、何であたしが霄なんかの将来気にしてんだろ。
< 18 / 72 >

この作品をシェア

pagetop