Cleome
「ただいまー」
ダイニングのドアを開けると、親父と母さんと琉珂が一斉にこっちを向いた。

「おかえり、宇海。」
「おかえりなさい、お姉ちゃん。」
「お…お帰り!は、はや…」

何か親父…動揺しまくっててあやしいんだけど?
落ち着きの無い親父を母さんが鋭い目つきで見ると、なぜか照れながらご飯の準備を始めた。

親父……確実にMだ、マゾだ。

「何話してたわけ?」
定位置に座りながら言うと、また親父が何か言おうとした。言う前に、母さんが遮ったけど。
「黎斐についてよ。」
「うん、下宿するとことか。」

改めて聞くと…悲しくなってくるなぁ。
琉珂と毎日会えないなんて…
「毎日電話するよ…!」

自分で自分がウザ。

琉珂にしたらウザいかもしれないけどさ!
これだけは…譲れない!

「うん!」
ここで嫌そうな顔もしないで答えてくれるとこも可愛い。

「ご飯だぞー!」

親父が嬉しそうにハンバーグを運んできた。

「電話だわ。」
母さんが琉珂と親父を見てから、廊下に出た。
いっつもは廊下に出ないのに…怪しい。

「何か隠してない?」

親父に詰め寄る。
一番話しそうだし。

「いや…え、えー」
「お父さん、ドレッシングとって!」

琉珂からの助けで親父はすぐに取りに行く。

怪しすぎる!
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