Cleome
あたしが下りるとナイスタイミングで親父がリビングから出てきた。
親父はそうとー運が悪い。

「おやじぃぃ!」

親父に飛び掛かると、首を絞めてやる。息の根を止める勢いで。

「な…う…宇海っギブ!」

ギブしたって、ぜってぇ止めてやんねぇ!
親父が白目をむいてきた所で母さんが出てきた。

「宇海、死んだら証拠隠滅に困るから止めときなさい。」

自分でやっときながら、今の言葉で親父に少し同情。
確かに後がメンドイし。

親父を離すと、床に倒れた親父は放っておいて、リビングに入った。

リビングには琉珂が心配そうな顔で立ってた。…親父を心配したのか?
親父のトコに行かないし…親父も可哀相に。

「で、これは何?」
短い髪の毛をつまんで言いながらソファーに座ると、琉珂と母さんも座った。

「宇海、黎斐通いなさい。」

単刀直入に理由も言わずに言うのが母さんらしい。
でもさ…分かった、行く。なんて言えないって!

「なんで!てか、黙って髪切るって有り!?」
絶対、無い有り得ない。

「琉珂を遠い高校に一人で行かせるなんて不安でしょう?」

琉珂には甘いこの家族。

ま、あたしも心配だけどね!
それとこれは別。

「あたし女じゃん!それに…黎斐に誘われてないし!」

あたしが言うと、呼び鈴が鳴って母さんが立ち上がった。
玄関からは復活した親父の声。

どうやら家にあげたらしい。

だれ?
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