Cleome
バス停に着いたら里美と萌華がいると思ってたのに…いない。
 とりあえず、バス停のベンチに座って考える。

 いない理由の有力候補は…。

萌が本屋でもたもたしてんじゃねーの?
 しか無いな。

里美は優しすぎるから萌を強制的に動かしたりしないだろうし…。
あたしが行くしかないな。

里美だけでもいいから、萌は放っておいてやるか。


それより…ここら辺の本屋ってどこだっけ?
遠かった気がしなくもないんだけど?

つーか…遠いじゃん…。
 隣町だし…。

萌なら行く!萌は自分の趣味の為なら地の果てまではいずってでも行くだろうな。

物凄い執念。


とりあえず、歩こう。
萌をぶっ飛ばす為に。


そういえば…自分の事あたしって言っちゃダメだよなぁ…やっぱり…オレ?
ボクはキャラ的に違う気がするし。

あーあ…男ギライ直さないとなぁ…サムッ。

女ってバレたらどうなるんだろ?…考えたくも無い。
おぇっ…吐き気が…。
こんなんでやってけんの!?あたし!


「離しなさいよ!」

聞いたことある声で吐き気を抑えることができたっぽい。
めっちゃ知ってる声…。

 声のした方を見てみるけど…遠くてわかんねぇ。
 わかるのは…女の子二人が三人の男に話し掛けられてること。

「…い、急いでるんですっ!」

さっきとは違う、少し泣き出しそうな声。

こっちも知ってる…。

まさか…まさかね。

「別にいいじゃんか。」

ん?この男の声も聞いたことあるし…。

まさか!

早足で近付くと、里美と萌華と…アホ霄率いる愉快な仲間たち。

あいつ…殺す。
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